チャプター 2.

強い鎮静剤を打たれていたにもかかわらず、ローリの目覚めは最悪だった。それに、全身が痛む。死ぬほど痛い。

悪夢も見た。赤ん坊が泣いている夢だ。ベビーベッドでおくるみに包まれた赤ん坊が、泣いて、泣いて……。手を伸ばそうとするたびに、赤ん坊は遠ざかっていくような気がした。

翌朝になっても気分は晴れず、むしろ悪化していた。見舞客は相変わらず誰も来ない。同僚のバーディから電話とメールが来ていて、いつ仕事に戻れるのかと聞いてきただけだ。

欠勤の理由をきちんと伝えていなかったのだ。あとで上司にメールして知らせなければならない。

うげっ。胸の奥が気持ち悪い。本当に気分が悪い。

さらに悪いことに、新たな問題が発生していた。胸だ。パンパンに巨大化し、岩のように硬くなっている。触れると、思わず顔をしかめるほどの激痛が走った。

想像を絶する痛みだった。

看護師が朝食のトレイを持って入ってきた。奇妙だ。昨夜食事をした記憶がない。腹ペコのまま寝てしまったのだろうか?

一体どれくらい眠らされていたの?

「おはようございます、ローリさん。気分はいかが?」

ローリは肩をすくめた。

「最悪よ。胸がすごく痛むの」

トレイに手を伸ばしながら彼女は言った。ひどく空腹だったのだ。

食事はチョコレートプリン、インゲン豆、そしてスクランブルエッグだった。

「ああ、よくあることですよ! お辛いでしょうけど、数日は張りが続くと思います」

「え? どうして?」

彼女が尋ねると、看護師はため息をついた。

「お体はもう赤ちゃんを迎える準備ができているので、母乳が出ているんです」

「でも私には赤ちゃんなんていない。失くしたんだから」

ローリは苦々しく言い捨てると、プラスチックのフォークをインゲン豆に突き立て、敵意をぶつけるように食べた。

「ええ、存じています。本当にお気の毒です」

同情的な声だったが、この激痛と喪失感の大きさなど、この女に分かるはずがないとローリは思った。

「もしよろしければ、胸の痛みを和らげる良い方法があるのですが」

看護師は期待を込めた目で彼女を見た。

「何?」

「このフロアに赤ちゃんがいるんです。ローリさんの赤ちゃんと同じ時間に生まれた女の子なんですが……悲しいことに、お母様が亡くなられてしまって。一晩中泣き止まないんです。粉ミルクをあげてみたのですが、あまり飲んでくれなくて。もし母乳を分けていただければ、あの子の助けになるかと」

ローリはしばらく呆然としていた。夢の中の泣き声を思い出す。あれは夢だったのか、それとも本当にどこかで赤ちゃんが泣いていたのか。

「いいわよ」

ローリが迷わず答えると、看護師は目を丸くした。

「えっ? 本当によろしいんですか?」

ローリは頷いた。

「ええ」

彼女がそう言うと、看護師は微笑んだ。

「ありがとうございます。お辛い状況なのに、本当に……」

看護師の言葉に、ローリは鼻で笑って顔を背けた。ああ、この人は何も分かっていない。

「では、搾乳器を持ってきますね。それから、その子の家族にも知らせてきます」

看護師が去り、ローリは静かに朝食を摂った。

二十分後、看護師は約束通り搾乳器を持って戻ってきた。父親もすぐに同意してくれたそうだ。

搾乳した母乳を持って看護師が去っていく際、検査がどうとか呟いていた。

ローリは再び眠りについた。その後、医師が診察に来た。帝王切開の傷の治りは順調だと言われた。ローリが治療費についてボソボソと尋ねると、医師は「フラー家」が全額精算済みだと告げた。

良かった。自分で払えるわけがない。一文無しなのだから。

それに、すべての医療費を彼らが負担するという契約だったはずだ。ただ、連れて行かれる前に、一目だけでも彼(息子)に会わせてほしかった。


ガブリエルは一睡もしていなかったが、病院を離れようとはしなかった。娘を一人残して帰るなんて考えられなかったからだ。

名前はまだ決めていない。スージーと一緒に考えていなかったせいもある。完璧な名前にしたかった。どんな名前であれ、完璧でなければならない。

赤ん坊が生まれ、医師からスージーが助からなかったと告げられた後、彼は静かに葬儀の手配をした。スージーには身寄りがなかった。少なくとも彼の知る限りでは。

彼女の家族は、今やこの娘だけだ。

初めて娘を腕に抱いた時のことを思い出す。優しく頭を撫でると、娘はすぐに泣き止んだ。

とても小さかった。本当に、本当に小さかった。だが、彼女が彼を見つめた時――本当に彼を見つめ返した時、世界が止まった。

その瞬間、他のことはどうでもよくなった。ガブリエルは誓った。何があっても、必死でこの子を守り抜くと。

検査の結果、ケイン家の赤ん坊は健康そのものだった。

彼女は大丈夫、何の問題もない。医師は何度もそう請け合い、家に帰って休むよう彼に懇願した。

だが、なぜ彼女はまだ泣いているのか! その泣き声を十分すぎるほど聞いてきた彼には、今やそれが娘の声だとすぐに判別できた。看護師は空腹なのだと言った。単なる空腹だと。粉ミルクは飲んでいるものの、彼女にとっては十分ではないようだった。彼女は飢えていたのだ。

ガブリエルにはその理由がわかっていた。彼女はただの赤ん坊ではない。「パップ」、つまり人狼の子なのだ。その食欲は底知れない。成長期の子狼とは通常そういうものだ。不運なことに、彼女を養うはずだったスージーの母乳は、もうない。

二度と戻らないのだ。

彼は娘のそばにいるつもりだ。いつまでも。

「良い知らせですよ、ケイン様」

娘が新生児室で昼寝をしている間、彼が待機していた個室の待合室に看護師が入ってきた。

先ほどその看護師は、娘のためのドナーが見つかったと伝えに来ていた。母乳の提供を承諾してくれた女性が現れたのだ。

看護師は、検査が済み次第、娘にその母乳を与えられると請け負った。

彼は安堵した。心からほっとした。母親のものと同じというわけにはいかないだろうが、何もないよりは……。

深く考え込んでいたため、彼は自分の「ベータ」と家政婦が入ってきたことに気づかなかった。

「ああ、ガブリエル! 知らせを聞いたわ! なんてこと……本当にお悔やみ申し上げます」

グレース夫人はそう言いながら駆け寄り、彼を抱きしめた。

ガブリエルはため息をつき、数秒間その抱擁に身を委ねてから体を離した。

「残念だ、ガブリエル。本当にすまない。スージーはこんな目に遭うべきじゃなかった。彼女は母親になりたがっていたのに」

ドラコが言った。

ガブリエルは頷いた。

「ありがとう。彼女がいなくて寂しくなるよ。娘もすでに母親を求めている……」

彼がそう言うと、グレース夫人は隣に座った。

「それでお嬢ちゃんの様子は?」

「元気だよ。とても健康だ」

グレース夫人は安堵のため息をついたようだった。

「ああ、女神様に感謝を。ところで、とても疲れているようね。みんなあなたが屋敷に戻ってくるのを待っているのよ。一度家に帰って、シャワーでも浴びて休んだらどう?」

彼女の提案に、ガブリエルは肩をすくめた。

「ここに彼女を一人残したくないんだ。それに、あと数時間でここを出る。いくつか整理したいことがあるんだ、特にスージーの遺体のことを」

スージーには彼の知る限り身寄りがなかった。もし家族がいたとしても、彼女は決して口にしなかった。

彼が葬儀を取り仕切り、一族の地下墓所に埋葬するしかない。彼女にはその名誉を受ける資格がある。

「わかっているわ。でも休息が必要よ。それに数時間後には満月だわ。赤ん坊のことは私が残って見ているから」

ガブリエルはため息をついた。

どうして忘れていたのだろう? 満月だ。現在抱えているストレスと感情の高ぶりは、満月の影響をさらに悪化させるだろう。

ドラコの言う通りだった。

彼は頷いた。

「わかった。グレース、ここは頼んだよ。医者と話してくる」

そう言い残し、彼は立ち上がって待合室を出て行った。


二日後。

彼女は退院の許可を得た。まだ身体の痛みは残っていたが、ここを出ることはできた。

彼女はグレース・ミラーという名の女性に会った。母親を亡くした少女の世話役らしい。

彼女たちは3日ごとにミルクを受け取りに、ロリの自宅へ来るという。その女性は親切にも、搾乳機や保存パック、授乳ケープなど、搾乳を楽にするためのあらゆる道具を提供してくれた。

取り決めはかなり柔軟で、ロリは何の説明もなしにいつでも打ち切ることができるというものだった。彼女はその点が気に入っていた。

その後、その女性は赤ん坊に会ってみたいかと尋ねてきたが、ロリはきっぱりと断った。

それはあまりにも……耐え難いことだ。ただでさえ多くのものを与えているのだ。赤ん坊が純粋に助けを必要としていると知ったから協力しただけだ。助けたいとは思ったが、だめだ、情を移すつもりはない。

彼女はフラー家に電話をしてみたが、彼らは出ようとしなかった。彼女が求めているのは、たった一つの説明だけなのに! そして場所だ。

赤ん坊の墓。我が子の墓を一目見たかった。

だが、彼らはその権利さえ与えてくれない。

彼女は入院した時とは違う姿で病院を後にした。今回唯一違うのは、彼女が一人だということだ。そして、あのクソみたいな人生と、クソみたいな仕事に戻るのだ。

空虚だった。彼女自身が空っぽだった。お腹は劇的にへこみ、5日前にあった膨らみはどこにも見当たらない。かつて子宮にいた赤ん坊と同じように。

そして彼女は憔悴しきっていた。退院の日、バスルームの鏡の前に立った時のうつろな気分を思い出す。顔色は青白く、彼女の地中海系の肌がかつてないほど血の気を失い、唇も白かった。

幽霊のような顔色を隠すために化粧をしながら、すぐに悟った。くぼんだ目の下にできた重いクマを隠せるものなど、何一つないのだと。

無駄だった! どう繕っても効果などない。誰が一目見たとしても、彼女が何かを隠していることは明白だろう。

一体どうすれば、この絶望から立ち直れるというのだろうか?

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