チャプター 46

「番(つがい)だと!?」

馬鹿げている。サビーヌは首を振りながらそう思った。すべてが馬鹿げて聞こえた。ガブリエルが人間の番を持っただと? しかも、その女を即座に拒絶しなかったというのか?

それは破滅へのレシピでしかなかった。

「あの腰抜けの人間だと!? ガブリエルはいったい何を考えているの!」

彼女が鼻で笑うと、ライルは肩をすくめた。

彼は疲れていた。長い一日だったのだ。今すぐにでもベッドに入りたかったが、サビーヌへの報告義務があった。彼は腕を組み椅子に座り、向かい側では高慢なヴァラが短剣の切っ先を使って爪を研いでいる。

まったく。彼は彼女が好きではなかったし、彼女の視線からして、...

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