第172章

フレイヤ視点

心臓が止まった。「子供たちが」

「ウィンストン、何があった?」アレクサンダーが問い詰める。その態度は瞬時に、群れを統率する「アルファ」のそれへと切り替わっていた。

「若様、ルーク様が!」ウィンストンの声が震えている。「突然の高熱を出されまして、予断を許さない状況です!」

世界がぐらりと傾いた気がした。膝から力が抜けたが、すぐにアレクサンダーの腕が私を支え、抱き留めてくれた。

「症状は?」自分の声とは思えないほどのかすれ声が出た。

「熱が華氏115度まで急上昇しています」ウィンストンは早口でまくし立てた。「それに……皮膚に奇妙な痣(あざ)が浮かび上がっていて」

華氏1...

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