チャプター 35

アレクサンダー視点

【アレクサンダー、明日、仕事でロッキー山脈へ向かいます。クラウン&ジェム社の内部抵抗が大きすぎて――私自身の力で突破口を見つけなければ。――フレイヤ】

そのメッセージはすでに三度も読み返したが、俺の顎はまだ固くこわばっていた。

『クソ、強情な人狼めが』彼女のメールを思うだけで、俺の中の狼がうずきだす。

午前九時五十分。ロッキー山脈地方空港からフレイヤが現れるのを、俺は見ていた。肩には旅行鞄がかけられている。

遠くからでも、彼女の決意が伝わってくる――そして、車のかたわらに立つ俺とカレブの姿を認めたときの衝撃も。

彼女の目がすっと細められた。「それで、どうしてあな...

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