チャプター 59

フレイヤ視点

タイタン・インダストリーズの会議室は、慣れ親しんだパックのメンバーの匂いに満ちていた。私はマホガニーのテーブルいっぱいにスケッチの草案を広げる。

「改装を進めるにあたって、まずは名前を確定させたいの」私はメモを指しながら言った。「人狼たちのビジネスネットワークでの、私たちの立ち位置を確立しないと」

サイモンが思慮深く頷く。「お母様の遺産を尊重しつつ、独立性を主張できるようなものがいいですね」

『ティファニーに奪われたものを取り戻し、スター・パックの商業的な地位を再建するチャンスなんだから――』

突然、思考を遮るように携帯が鳴った。画面にはゾーイの名前が光っている。

一...

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