第123章

ドレイク

俺はバルコニーへと向かい、震える手で煙草に火をつけ、街の灯りを眺めた。どうしようもなく厄介な女もいる。エルサ・ヘイルは、まさにクソ厄介事の化身だった。

ポケットの中で携帯が震えた。ルークからだ。

「なんだ?」抑えた感情でざらついた声で、冷たい夜気へと煙を吐き出しながら答えた。

「サミュエル・ライトとの件はどうなった?」ルークは前置きもなしに訊いてきた。

「進展なしだ」もう一度煙を吸い込む。肺を焼く感覚が、ありがたい気晴らしになった。「あのクソ野郎、妥当な和解案には興味がないらしい」

「だろうな。奴はいかがわしい連中と繋がりがあるって噂だ。テイラーにもっと深く身辺を探らせる...

ログインして続きを読む