第二十六章

「俺のこと、避けてるだろ」

彼の声が、いつも私の心臓を跳ねさせ、内腿をきゅっと引き締めさせる、あのからかうような響きを帯びる。

「十年も俺を嫌ってたはずの人間にしては、この前の夜はずいぶん楽しそうだったじゃないか」

顔にカッと熱が奔り、首筋まで赤くなっていくのが恥ずかしかった。「あれはただの仕事よ」私はこわばった声で言った。声がわずかに上ずる。ごくりと唾を飲み込み、もう一度言い直す。「それ以上じゃない。ただの……仕事」

「そうか?」彼は片眉を上げ、唇の端を歪めてあの腹立たしい半笑いを浮かべた。平手打ちしてやりたいか、キスしてやりたいか、その両方か、わからなくなる笑みだ。

ドレイクが言葉を...

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