第二十二章

エルサ

「床で寝ればいいわ」

私は冷たく言い放つと、ベッドに潜り込み、息ができないほどきつく布団をかぶった。

「大事なヴェラは看病に来てくれないんだから、あなたも私たちみたいに苦しめばいいのよ」

彼に背を向け、枕に顔をうずめて、溢れそうな熱い涙をこらえるために目を固く閉じた。背後からはドレイクの苦しそうな呼吸音が聞こえ、時折、押し殺したような咳やうめき声が漏れていた。私はその音に対して心を鬼にし、あいつも苦しんで当然なのだと自分に言い聞かせた。

しかし、何時間経っても眠れなかった。床にいるアルファから漂う病気の匂いに、私の中の狼が不安そうに鳴き声を上げていたからだ。

午前六...

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