チャプター 30

エルサ

VIPラウンジへの扉が開くと、重低音の響く音楽がいくらか我慢できるレベルまで遠のいた。照明はより薄暗く、座席は豪華で高価なものばかりだ。そして、一番大きなボックス席の中央に、ドレイクがヴェラ・ホートンの肩を抱いて座っていた。

ヴェラは白いサンドレスを身につけ、若く無垢に見えた。その黒髪はシャンプーのコマーシャルのように肩に流れ落ちている。私に気づくと、彼女はわざとらしく驚いたように目を見開き、まるで庇護を求めるかのようにドレイクに身を寄せた。

何から? この極悪非道なオメガから? 笑わせないで。あんたなんかより、私が出す糞の方がよっぽど脅威よ、お姫様。

「おや、誰かと思えば。ご...

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