チャプター 63

エルサ

エレベーターのドアが背後で閉まり、モールの喧騒とナイフを振り回す男の記憶を置き去りにして、私はゆっくりと息を吐いた。肩の力が少し抜け、体の中でとぐろを巻いていた緊張がようやく解けていく。震える手で髪をかき上げると、たった一日の午後で十歳も老け込んだような気分だった。

目の前にはショッピングモールが広がり、午後の買い物客で賑わっていた。

「いつもクソみたいに助ける側で、助けられる側にはなれない」、ブティックに向かってずんずん歩きながら、私はそう独りごちた。

若い女性向けの服を売っている店を見つけ、スーザンのスタイルに合いそうな、上品で露出の少ない白いドレスを選んだ。私自身の破れた...

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