チャプター 76

エルサ

安堵の波が押し寄せてきた。私は差し出されたレックスの腕にすがりつき、私たちを追ってくる捕食者のような視線から彼が遠ざけてくれるのに身を任せた。

助かった……。レックス、本当に恩に着るわ。この借りは大きい。

「アレンが話したいそうだ」歩きながらレックスが囁いた。「東の出口で待ってる」

ホールを出ると、背中に突き刺さるような視線を感じたが、振り返らなかった。振り返れなかった。私の意識はただ逃げること、たとえそれがドレイクを裏切ることを意味するとしても、自分の尊厳を取り戻すことだけに集中していた。

レックスの後について中へ入ると、心臓が肋骨を叩き割らんばかりに激しく鼓動していた。...

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