チャプター 81

ドレイク

胸の奥をクソ忌々しい野生動物にでも掻きむしられるような、慣れない感覚に襲われながら、俺は混み合うボールルームを見渡した。ジェイソンの言葉はほとんど耳に入ってこなかった。エルサは一体どこにいるんだ?

「ドレイク、俺の言ったこと聞いてたか?」ジェイソンの声が、ようやく俺の思考に割り込んできた。「二十分ほど前に、誰かが小型ボートの一隻を持ち出したらしい。クルーがたった今、紛失を報告してきた」

俺は彼の方を向いた。顎は痛みを感じるほど固く食いしばられていたが、込み上げてくる不安にもかかわらず、表情は慎重に無感情を装った。「それが俺に何の関係があるってんだ?」

ジェイソンは居心地悪そう...

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