チャプター 86

「本当に大丈夫? いつもより顔色が悪いわよ」

病院の入り口の外に立つと、母が心配そうに眉をひそめて言った。朝の日差しも、私の内なる寒さを温めてはくれなかった。

私は無理に笑って、母の華奢な手を握りしめた。銀中毒症候群のせいで浮き出た銀色の血管が、今日は肌の上でひときわ目立っているように見えた。「大丈夫だよ、お母さん。ただ、クソみたいな就活で疲れてるだけ」と言って、すぐさま母の前で汚い言葉を使ったことを後悔した。「ごめんなさい」

「ちゃんと診てもらうって約束してちょうだい」と、母は私とよく似た目で私の顔を探りながら、食い下がった。「せっかくここに来たんだから、どう? 婦人科は三階よ」...

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