チャプター 91

エルサ

優しい目をした若い看護師が、柔らかな手つきで傷の手当てをしてくれた。作業をしながら、彼女はちらりとドアに目をやり、それからぐっと身を寄せてきた。

「あの夜、私、そこにいたんです」消毒液がしみて私が痛みに息を呑むと、彼女は囁いた。「グリーン先生が、あなたのお母様を助けようとしていた時に」

心臓が跳ねた。「本当に?」私は診察台の縁を、指の関節が白くなるほど強く握りしめた。

彼女は頷き、さらに声を潜めた。「先生は、あなたのお母様の容態を安定させることに集中していました」

「そんなこと、知らなかった……」罪悪感がナイフのように胸を抉り、私はか細い声で呟いた。

「その毒に侵された患...

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