第154章

リチャード視点

書斎で、煙に囲まれて座っていた。今日、何本タバコを吸っただろう? もう数えきれない。机の上の灰皿は吸い殻で山盛りになっていたが、俺の内の落ち着かなさを鎮めてくれることはなかった。

ドアを静かにノックする音がした。

「入れ」声がかすれていた。自分でも意図した以上に疲れた響きだった。

アナがドアを押し開けた。聞きたくないことを言おうとしているのだと告げる、あの表情を浮かべて。彼女は慎重に背後のドアを閉めると、俺の前に立ち、手を前で組んだ。

俺は椅子を彼女から背け、窓の外に目をやった。「彼女は起きたか?」

「まだです、ブラックウッド様。ですが、お医者様が言うには容態は安定...

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