チャプター 30

エレナ視点

キャシーが興奮した様子で巨大な観覧車を指差した。「あれ、乗ってもいい?」

私たちはちょうど、穏やかなボート乗りを終えたところだった。キャシーの体力を消耗させないよう、意図的にそういうアトラクションを選んでいたのだ。見慣れた人影がこちらに近づいてくるのに気づく。イーサンだった。

「見つかっちゃった!」とキャシーが声を上げた。

イーサンはキャシーを見ると、その真剣な表情をわずかに和らげた。「キャシー。楽しんでいるか?」

彼女は熱心に頷いた。「メリーゴーランドに乗って、ボートにも乗って、それから――」

「エレナ様」イーサンは丁寧ながらもきっぱりとした口調で遮った。「旦那様がお...

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