チャプター 76

リチャード視点

「忘れてはいない。だが、俺に一言もなくあの子たちを連れて行くべきではなかった」俺は唸るように言った。

「私はあの子たちの祖父だ。その権利はある。それに、エレナは子供たちを連れて訪ねると約束した」と父は言い返した。「だが昨日は一日中待っても、あの子たちは来なかった」

「先に俺に電話すべきだったんだ」

「お前が同意したとでも?」俺が返事をしないと、父は続けた。「だろうな。娘たちは無事だ、リチャード。とにかくここへ来い」

通話が切れた。俺は携帯電話を助手席に放り投げ、アクセルをさらに強く踏み込んだ。

見慣れたブラックウッド邸へと続く曲がりくねった道が前方に見えてきた。俺が...

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