チャプター 82

リチャード視点

見慣れないカーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいた。目覚めた瞬間、自分がどこにいるのか分からず、激しい違和感に襲われる。だがすぐに、エレナの香りが鼻をくすぐり、昨夜の記憶が一気に蘇った。

私は上体を起こし、彼女の掛け布団にくるまり、枕に顔を埋めていた自分に気づいて赤面した。一体、俺は何をしているんだ? 恋に浮かれた十代の若造でもあるまいし。

「パパ、起きてる?」入り口から小さな声がした。

そこには、ピンクのパジャマを着たリリーが立っていた。髪は顔にかかり、ひどくもつれている。

「ああ」どうにか声を絞り出す。母親のベッドに父親がいるという状況がどう見えるか、急に気まず...

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