第5章

栞奈視点

午前四時。アパートに帰り着いた。

床には、ウェディングドレスの破片とガラスの欠片がまだ散らばっていた。

私は冷静にほうきとゴミ袋を取り出し、過去の残骸を片付け始めた。白いシルクの一片一片はかつての私の甘さを、ガラスの破片一枚一枚は砕け散った私の夢を映し出していた。

でも今は、そのすべてを捨て去るのだ。

片付けを終えると、私はノートパソコンを開き、銀行の不正行為、脱税の告発、そして労働法について調べ始めた。それからノートに四人の名前を丁寧に書き出した。高峰哲也、和嶋紗矢、水瀬真理子、水瀬仁助。

それぞれの名前の横に、彼らの弱みを書き連ねていく。

哲也。銀行...

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