第8章

栞奈視点

金曜の夜、私は計画の最重要部分を実行に移した。仁助を誘い出し、さらなる情報を引き出すという作戦だ。

仁助が毎週金曜の夜、ダウンタウンの『マーフィーズ・バー』で仲間と飲んでいることは知っていた。そこは騒がしいアイリッシュパブで、気づかれずに人混みに紛れ込むのは簡単だった。

午後八時。私は黒いパーカーを羽織り、野球帽をかぶってバーに足を踏入れた。仁助たちのテーブルがよく見える隅の席を選び、友人を待っているふりをしてビールを一杯注文した。

仁助と三人の仲間はすでにかなり酔っており、声がどんどん大きくなっていく。私はスマートフォンを取り出し、録音アプリを起動させると、SNS...

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