火髪の死神

サイラス

番(つがい)と対面した瞬間、甘いバニラの香りが強烈なボディブローのように俺を襲った。胸の奥で「絆」が脈打ち、俺を彼女の方へとぐいぐい引き寄せる。彼女が見開いた目は、彼女も同じものを感じていることを物語っていた。

彼女の手首は金属製のカフスで拘束され、さらに太い鎖で繋がれている。足首にも同様のカフスが嵌められ、鎖はコンクリートの床に埋め込まれたフックに固定されていた。口には猿轡(さるぐつわ)が噛まされ、頭の後ろで固定されている。俺の中にいる狼、アルテミスが怒りで満たされ、頭の中で何度も『番だ』と連呼している。

彼女をこんな目に遭わせたクソ野郎どもを、一人残らず殺してやる。彼女の中...

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