バーファイトはもうありません

セイン

「サイラス、お前には番いの絆を深めろと言ったはずだ。バーで喧嘩を始めろとは言っていない。どうして同じ日にその二つが起こるんだか、俺には理解できん」俺はため息をつき、こめかみを揉んだ。朝っぱらからこんなクソ面倒な話はごめんだ。しかも、そのクソ面倒な話が一体何なのか、まだサッパリ分からん。

「弁解させてもらうと、俺から始めたわけじゃない」奴は目の前で両手を挙げてみせた。

「お前が始めたかどうかはどうでもいい。俺が問題にしているのは、群れの最年長が、自分の双子の玄孫たちが昨夜暴行されたとかでヒステリーを起こしているという事実だ。この状況がどれだけ手に負えなくなりつつあるか、分かっている...

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