トラウマ・ボンド・ユナイト

アイラ

もし私自身に特別な力がなかったら、レイヴンがあのキャップに込めたスピードは信じられなかっただろう。あんなものを見ることになるなんて、思いもしなかった。

「サイラスがそんなことを? 私があなたの護衛になるべきだって?」レイヴンは信じられないといった様子で尋ねる。

「ええ。あなたのスピードと腕力は桁外れで、周囲の状況把握能力もずば抜けてるって。他にもたくさん言ってたわ。訓練でどれだけ優秀だったか、延々と語ってた」私は正直に、でも少し大げさな口調を混ぜて答える。

「彼に一撃でも当てられたかどうか……。どうしてそんなことを言うのかしら」レイヴンは、自分の周りにいくつも開けてある飲み物の...

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