ターネは知ってる、知ってる

セイン

五秒前まで、俺はレイヴンを殺せた。俺の番を力ずくで攫い、精神的な悪夢に陥れ、挙句の果てに荒野の半分を焼き払うなど。未熟で、無謀で、俺の番と仔を危険に晒したのだ。

だがそれは五秒前の話だ。今の俺の前には、ひどく興奮し、ホルモンに突き動かされて木登りのように俺によじ登ってくる番がいる。他のことは後回しでいい。

「どうしたんだ、子狼? 今日の一連の冒険でお前を昂らせちまったか?」俺は彼女をきつく抱きしめながら、両の頬にキスを落とす。彼女の脚は俺の腰に絡みついている。

「わからない。あなたのその『衣装』、なんだかすごくそそられるの」アイラがかすれた声で言い、俺の両頬にキスを返してくる。...

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