カーテンの向こう側

デイモン

俺とセオは中立地帯にある売春宿の外に立っている。その大きな建物の外観からは、中に何が待ち受けているのか窺い知ることはできない。

外から見れば、その場所は道端にある小さなホテルのようにしか見えない。壁はベージュ色で、屋根はありふれた青いシングル葺きだ。建物を特定できるような看板の類が一切ないのが、逆に怪しい。

三時間にわたる外部からの監視を終え、俺たちは車を降りた。監視は役に立たなかった。クソほど退屈だったし、名の知れたアルファがふらりと入っていく姿も見かけなかった。

「準備はいいか?」俺はセオに振り向く。こういう仕事で主に使うシフターだ。彼は極めて観察眼が鋭く、誰にも気づかれ...

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