ラスティ・ムーンズ

セイン――というよりローナンが、私の求愛腺の匂いを嗅ぐのは、とても強烈な体験だった。彼は、その匂いが何なのか分からないとでもいうように、何度も何度も私の匂いを吸い込んでいた。私はもう一時間近くもここでケーキを食べ続けている。そうでなければ、この時間ずっと外で気を紛らわせて座っていることなんてできなかっただろうから、ケーキには感謝している。この時間のほとんどを森の音に耳を澄ませ、あらゆる物音を拾おうと試みて過ごした。でも、私の狼がいなければ、聴覚は不十分だ。さまざまなシフターの気配は感じ取れるけれど、滝の近くまで寄ってくる者はいない。セインは言った通りにしてくれた。彼らを遠ざけてくれたのだ。

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