機内を去った微妙な

山小屋は防虫剤と、ペパーミントシュナップスと、隅に置いてあるスキの芝刈り機から漂う古いガソリンのかすかな匂いがした。スキはこれを「居心地がいい」と呼ぶけれど、マーラに言わせれば「閉所恐怖症になりそう」だそうだ。

ミハイルはまるでビンゴホールにでも迷い込んだ王族みたいに、あたしのリクライニングチェアにこわばって座っていた。ランプの光を浴びて輝く白髪、気品あふれる姿勢。このアルファが地獄をくぐり抜けてきたのは確かだろうけど、あたしが考えたのはただ一つ――なんて見事な髪なんだろう、ってこと。雪のように白く、しかも豊か。このあたりの年寄りの雄狼たちみたいに薄くなったりしていない。腹筋が割れてるより、ふ...

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