埋もれたインク

アエラ

石畳にブーツの底が擦れ、ざり、と乾いた音が反響する。まるで壁がこちらの話を聞き耳立てているみたいに。

セインは私の前を行く。肩はきっちりと張り、全身の線という線が目的意識で研ぎ澄まされていた。見上げるには、以前よりいっそう首を反らさなければならない。中へ足を踏み入れてから、彼はほとんど口を開かない。だが、彼の狼が強く主張している。落ち着きがなく、焦れている。その気配が絆を通して伝わってくる。

「ねえ、ここに残す価値のあるものってあると思う?」私はそっと訊く。だだっ広い部屋では、囁きですらやけに大きく響いた。

「あるに決まってる」答えは平坦で、揺るがない。「こんな保管庫を造ってお...

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