アルファの忍耐

セイン

今夜は執무室がやけに狭く感じる。息をするたびに、その重みが圧し掛かってくるようだ。机の上には書類が山積みになっている。報告書、境界警備隊からのメモ、物資のリスト。だが、綺麗に積み上げることのできないものが一つだけある。俺が連中に伝えたことに対する、パックの反応だ。

デイモンが俺の向かいに座っている。広い肩を張り、その表情は戦場で彼が見せるのと同じ、読み取れない仮面のようだ。だが、付き合いの長い俺には、その下に隠された緊張が見て取れた。

「それで?」俺は尋ねる。低く、荒れた声が出た。「連中はどんな様子だ?」

彼は鼻から息を吐いた。「様々ですね。自分が気づいてさえいなかった欠けた部分が説...

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