シュライン・オブ・ロット

サイラス

エリックの古いアパートに忍び込むのは、拍子抜けするほど簡単だった。ドアを蹴破っても、錠はきしりとも言わない。ドアが大きく開き、悪臭が顔面に叩きつけられ、思わずむせ返った。

「なんてこった」レイヴンは袖を鼻に押し当て、目に涙を浮かべている。「何かが死んでる匂いがする。それも一つや二つじゃない」

「結構なことだ」俺は構わず中へ足を踏み入れた。「ここに住んでたやつの人格にぴったりだ」

そこは惨めさの殿堂だった。どんな染みなのか想像もしたくないソファ。床に散乱する空き瓶。新月の頃からそこにあるような、シンクに積まれた皿の山。そして、その全てを覆う、酸っぱく、腐った、息が詰まるほど濃密...

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