プリンセス・マーダー・ビーン

ロンダ

この世でいちばんクソ寒い山脈を走り抜けるうえで厄介なのは、雪でも氷でもない。道路が、酔っぱらった幼児がクレヨンで引いたみたいにぐにゃぐにゃしていることでもない。

違う。

本当の問題は地図だった。

「こいつ、あたしに嘘ついてる」そう言い放って、紙の地図をくしゃくしゃに丸め、古い家同士の遺恨をめぐって決闘でも申し込むみたいに振りかざした。「あたしたち、こんな道走ってない。そもそもこの道、存在してない」

「逆さまだよ、ロンダ」後部座席からジルが言った。毛布を三枚、さらに断熱材代わりにしているらしいシャワーカーテンみたいなものまでかぶって、ガタガタ震えている。

「十分前は逆さまだっ...

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