運命に祝福された

アイラ

草原で眠りから覚めた。混乱しながら身を起こし、あたりを見回す。最後に覚えているのは、自室の壁をずるずると滑り落ちたこと。恐怖と不安を感じていたのを思い出す。なのに今、私は背の高い草が生い茂る、深い緑の野原で目を覚ました。小川か何かの、かすかなせせらぎが聞こえる。咲き誇る花をつけた美しい木々がそこかしこにあり、月明かりがすべてを煌々と照らしている。私は立ち上がって、服についた草を払った。

「誰か、そこにいるの?」

振り返ってあたりを見渡すが、誰もいない。セインが私に話しかけていたのを思い出す。喉がどうとか、他にも何か、曖昧でよく聞き取れないことを言っていた気がする。何だったかは定かで...

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