ホールディング・ザ・ボンド

アイラ

目の前にいるのは、血走った目をしたデラ。まるで靴底にこびりついた、最高に汚らわしいゴミでも見るかのような目で、私を睨みつけている。「セインの部屋で一体何してるの? 彼はどこ? 私に個人的に会いたいって言ってたはずだけど、まさかあんたが含まれてるなんて聞いてないわ」

腕の産毛が逆立つのがわかる。肌の下を、何かが深く這い回る感覚。竦み上がり、恐怖に震え、パニックになって逃げ出したい。それがトラウマを抱えたアイラなら、そうしただろう。でも、狼と共にあるアイラは?

――否。

逃げたりしない。

私のメイトの周りにいる人間は、誰も信用できないのだから。

このビッチは、その中でも最低最悪...

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