お相手への贈り物

セイン

嘘はつけない。アイラが俺にくれた言葉は、しばらくしまい込んでいた感情を呼び起こした。二人して悲しみの渦に飲み込まれるのは簡単だっただろう。互いの人生で起きた悲劇を繰り返し思い出しながら、底なしの沼に沈んでいくように。今この瞬間、本来なら家族がここにいるはずなのに、いない。

共有した経験を通して生まれた俺たちの繋がりは、子狼と俺が永遠に持ち続けるものだ。どれほど辛くても。時が経てば、その記憶と、それが呼び起こす感情にもっとうまく対処できるようになればいいと願う。二人で一緒に乗り越えるんだ。頼むから、妹の名前を口にしてやりたい。でも、できない。

俺たちにはできない。まだだ。痛みは確か...

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