第114章

 振り返った瞬間、山田蓮花は扉の外に立つ秋山棠花の姿に気づいた。

 たちまち顔色を曇らせ、大股で戸口まで歩み寄ると、彼女の前に立ちはだかる。「誰が来ていいと言ったの、出ていきなさい!」

「息子はあなたに心配してもらう必要なんてないし、顔も見たくないわ」

 光弘が生まれてこの方、こんな目に遭ったことなどあっただろうか。この女のために刃物で斬りつけられ怪我を負ったというのに、彼女は見舞いに来ようとすらしなかった……。

 たとえ見ず知らずの他人であっても、こんな事態になれば命の恩人として扱うのが普通だろう。

 それなのに彼女ときたら、まるで自分とは無関係であるかのように、心が冷酷だ。

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