第130章

「そうよ、負けたら負けたなりの態度ってものがあるでしょ。あんたが勝ってたら、安田のお嬢様の首にかかってるあの玉を欲しがらないなんて、私は信じないわ」

 その言葉は、確かに真実だった。

 水原春はまさしくその玉石のために、歯を食いしばって最も難しい曲を選んだのだ。

 目的は、秋山棠花に勝つチャンスすら与えないこと。

 できれば無様な負け方をさせて、自分の能力を引き立たせたかった。

 ところが、まさか……。

 今さら後悔したところで、もう逃げ道はない。

「客だってのをいいことに、好き勝手主役の風頭を奪うなんて。こういう人間は根っからの性悪に決まってる」

「見逃しちゃダメよ、安田の...

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