第146章

「柏木浬、よくもまあ抜け目なく計算してくれたものだ。俺たちの離婚までの日数まで数えてくれているとはな」

 藤原光弘は不愉快そうに目を細め、その口調から遠慮が消え失せる。

「残念だが、計算違いだ。離婚届なんてものは、一ヶ月どころか一生、俺と秋山棠花の間には存在しない。この藤原光弘から女を奪えると思っているなら、諦めるんだな」

「ああ、言い忘れていたが、昨夜は二人で甘い夜を過ごしたんだ。離婚届を盾に揺さぶりをかけようとしても、無駄だとは思わないか?」

 言い終えるや否や、藤原光弘は椅子の背もたれ越しに手を伸ばし、秋山棠花の肩を抱き寄せた。

 その手慣れた動作は、離婚寸前の夫婦のものとは...

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