第217章

 水原春が身を隠そうとする仕草、藤原光弘の驚愕に染まった表情、そして二人が今いる場所。

 それだけで、つい先程まで何が行われていたかは明白だった。

 秋山棠花は、今の自分がどんな感情を抱いているのか言葉にできなかった。むしろ、彼女が今心配しているのは、目の前にいる藤原の祖父のことだった。

「お祖父様」

 その呼びかけに、藤原の祖父はよろめくように足を滑らせた。

 信じられないといった様子で振り返り、入り口に立つ純白のトレンチコートを纏った秋山棠花を見つめる。先ほどまでの凄まじい剣幕は消え失せ、老人の顔色は瞬く間に蒼白になった。

「棠花、お前……どうして、ここに?」

 藤原の祖父...

ログインして続きを読む