第224章

室内は一瞬にして静寂に包まれた。

ベッドに横たわる光弘と、目の前に置かれたぬるま湯の入った洗面器。棠花はどうすべきか戸惑い、視線を彷徨わせる。

山下さんは先ほど、光弘の手助けをしてほしいと言っていた。それはつまり、顔を拭いてやれということだろうか?

いくらなんでも、妊婦である自分に体を拭かせようというわけではないだろうが……。

彼女が逡巡している間に、ベッドの上の光弘は自ら手を伸ばし、顔を洗おうと動き出した。

だが、思ったよりも湯の温度が高かったのか、彼は不意を突かれて「っ」と小さく息を吸い込む。その拍子にタオルを取り落とし、洗面器の中にボチャンと落ちたタオルから飛沫が跳ね、彼の顔...

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