第236章

「愛、か」

 藤原光弘は唇の端を吊り上げる。水原春の口から出たその言葉が、皮肉で仕方がない。

 だが、表面上の偽装は完璧だった。

「いいだろう。そこまで本気だと言うのなら、これからの時間は俺を愛することに尽くせ」

 水原春……いや、秋山柔子に残された時間は、もう残り少ないのだから。

「本当?」

 水原春は信じられないといった様子で目の前の男を見つめる。彼が本当に自分の告白を受け入れ、恋人関係になることを承諾したなんて……。

「よかった……光弘、やっと一緒になれたのね」

 興奮のあまり我を忘れた彼女は、両手を広げて藤原光弘に飛びついた。

 そして今回、藤原光弘は彼女を突き放さ...

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