第237章

 この新居は、かつて祖父が俺と秋山棠花の新婚生活のためにと、特別に用意してくれたものだった。

 室内の装飾や調度は、すべて秋山棠花の好みに合わせて設えられている。

 彼女が子供を連れて俺との関係を完全に断ち切り、ここを出て行って以来、俺は二度と足を踏み入れていなかった……。

 この家には、俺と秋山棠花に関する思い出があまりにも多く詰まりすぎている。

 そこには、俺たちの数少ない甘いひとときも確かに存在した。

 だが、彼女が俺との別れを決意してからは、この家はただの傷心(ハートブレイク)の場所へと変わり果てた。目に入るものすべてが、否応なしに彼女を思い出させるのだ。

 藤原颯の出現...

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