第239章

 電話の向こうで、藤原光弘は目を細め、低く笑った。「誰がそんな真似を許した? 俺は彼女を尾行しろなどと命じていないはずだが」

 社長の笑い声を聞いて、高橋久弥は自分の判断が正しかったことを確信した。

 とはいえ、藤原光弘の面前で、その権威に逆らうような真似はできない。

「私の独断です。藤原社長、相談なんですが、もし何か掴めたら一ヶ月の有給をいただけませんか? 私も海外でリフレッシュしたくて」

「一週間だ。嫌ならナシにする」

「頂きます! 一週間でも御の字です」

 高橋久弥は選り好みなどしない。休みが全くないよりはマシだ。

「その美容院の背景を洗え。数人選抜して遠巻きに監視させろ...

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