第271章

 妊娠しているとはいえ、秋山棠花の体は男の目にはあまりに華奢に映った。相手が彼女を抱き寄せようとした際、そこには力を込める気配すらなかったのだから尚更だ。

 彼女はひらりと身をかわし、あっさりと男の拘束から抜け出した。

 指先で自分の顎を撫で、片眉を上げて挑発するように言う。

「アンタについて行くのも悪くないけど、名前も知らないんじゃね。部屋に行ってまで『弟クン』なんて呼びたくないし」

 『弟』呼ばわりされ、藤原光弘は怒りを通り越して笑い出しそうだった。

 そんなに若い男が好きなのか。その辺のイケメンなら誰でも付いていくというのか?

 俺があのガキ共にどこか劣っているとでも言うつ...

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