第272章

 秋山棠花は内情を知らない。だが、もし自分が逆の立場なら、やっと訪れた晴れ舞台だ。重い体を引きずってでも、勝ち誇った顔を見せに来るはずだ。

 彼女は呆れたように首を振ると、藤原光弘に向けて言い放った。

「あんたの誕生日まですっぽかすなんて、新しい愛人も大したことないわね……」

 藤原光弘は、彼女のその仕草に危うく吹き出しそうになった。

 だが、なんとか寸前で堪える。

 確かに水原春は、秋山棠花を挑発するためだけに、持てる全てを注ぎ込んで美しく着飾っていた。

 高額なメイクチームまで雇って。

 だが、それがどうしたと言うのだ?

 これは俺の誕生パーティーだ。俺が見たいのは秋山棠...

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