第283章

 秋山棠花は鼻で笑った。

「金なんて誰が欲しがるって? 隠れてないで、さっさと出てきな」

「お、お前、誰だ……?」

 その声を聞いた瞬間、佐藤芳子は化け物でも見たかのように、さっきよりもさらに狼狽した。後ずさりした拍子に何かを踏みつけ、無様に転倒する。

 棠花は眉をひそめた。時間の無駄だ。彼女は手で合図を送り、護衛にドアを蹴破らせると、そのまま部屋へと踏み込んだ。

 目の前に現れた秋山棠花の姿を捉えた瞬間、佐藤芳子は金切り声を上げた。

「幽霊ッ!」

「来るな、私のせいじゃない……ッ!」

 半狂乱の佐藤芳子を見て、護衛がすかさず棠花の前に立ちはだかる。

 棠花には、彼女が何を...

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