第284章

 調子づいて饒舌になる安田礼を横目に、秋山棠花は唇を引き結び、助けを求めるような視線をもう一人の叔父――安田延司へと向けた。

 ここまで散々、礼の繰り出す「お説教」という名の無駄話に付き合わされていた安田延司は、ここぞとばかりに咳払いを一つ。手にしたスマートフォンを掲げ、救いの船を出した。

「話は尽きないようだが、私は父上に連絡を入れねばならんのでな」

「延司叔父さん……」

 私を一人にして逃げる気!?

 秋山棠花がすがるように手を伸ばし、延司の後を追おうとしたその瞬間、彼女の身体は礼によって車内へと押し戻されていた。

「延司は忙しいんだ。俺たちは先に行って待ってようぜ」

 礼...

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