第288章

秋山棠花の脳裏に、とっさに水原春の顔が浮かんだ。

彼女は以前から、水原春こそが秋山柔子その人ではないかと疑っていた。だが、確たる証拠が掴めず、追及を断念せざるを得なかったのだ。

しかし、今こそ絶好の好機ではないか。

その言葉に、安田延司と安田礼、二人の叔父の表情が瞬時に引き締まる。

安田礼が怪訝そうに尋ねた。

「棠花、その女が安市にいるとはどういう意味だ? あいつは失踪したはずだろう」

「礼叔父さん、藤原光弘の傍にいる水原春という女に見覚えはありませんか? 彼女が現れてからというもの、藤原光弘に対して異常なほどの執着を見せている……まるで、彼でなくてはならないと言わんばかりに」

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