第324章

 その様子を目にした瞬間、秋山棠花はまるでかつての自分を見ているような錯覚に陥った。

 あの頃の彼女もまた、藤原光弘に絶望し、二度と振り返るまいと心に決め、彼との縁を断ち切ろうと密かに誓っていたのだ。

 だが、そんな決意で他人を欺くことはできても、自分自身の心までは騙せない。

 好きなものは好きだし、気になるものはどうしたって気になる。それは言葉一つで断ち切れるほど、軽いものではないのだ。

 それでも、彼女はこの件に口を挟むつもりはなかった。感情というものは最も不可解で、説明のつかないものだ。たとえ部外者がその本質を見抜いていたとしても、決して口に出すべきではない。

 すべては彼ら...

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