第328章

 秋山柔子は一歩また一歩と扉へ歩み寄ると、目の前に立ちはだかる朽ちかけた鉄の扉を、足蹴にして乱暴に開け放った。

 その先には、秋山棠花が縛り上げられていた。両手両足を拘束され、身動き一つ取れないその姿は、かつての彼女自身と重なる。

 自分が味わった苦痛を、秋山棠花に味わわせない理由などない。

 それも、倍にして『体感』させてやるのだ。

「安田家のお嬢様、藤原社長の奥様……秋山棠花。さあ見せてちょうだい、今のあなたにまだ誇れるものがあるならね」

 秋山柔子は勝ち誇った笑みを浮かべ、棠花の前へと歩みを進める。胸のすくような思いだった。

 この光景を、何度夢想したことか。ついに現実のも...

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