第331章

 秋山柔子はふと思いついたように、くすりと笑った。

「光弘兄さん、約束してくれたってことは、今夜は私たちの初夜ってことになるわよね。それに、ここには私たちだけじゃないんだから、適当な格好で来ちゃだめよ。ちゃんと正装してきてくれなきゃ」

 藤原光弘が本気で望んでいるかどうかなんて関係ない。これからあの男が自分のものになるのだと思うと、柔子は興奮を抑えきれなかった。

 秋山棠花を悔しがらせた上で、藤原光弘を手に入れる。これほど完璧な手はない。

「分かった」

 藤原光弘の返事は簡潔だったが、その声は以前にも増して低く沈んでいた。

 今の彼にとって、秋山柔子の条件などどうでもいい。重要な...

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